「カン、カン」を編集中

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'''270 ：あなたのうしろに名無しさんが・・・：02/08/21 23:11'''<br>
幼い頃に体験した、とても恐ろしい出来事について話します。<br>
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その当時私は小学生で、妹、姉、母親と一緒に、どこにでもあるような小さいアパートに住んでいました。<br>
夜になったら、いつも畳の部屋で、家族揃って枕を並べて寝ていました。<br>
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ある夜、母親が体調を崩し、母に頼まれて私が消灯をすることになったのです。<br>
洗面所と居間の電気を消し、テレビ等も消して、それから畳の部屋に行き、<br>
母に家中の電気を全て消した事を伝えてから、自分も布団に潜りました。<br>
横では既に妹が寝ています。<br>
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普段よりずっと早い就寝だったので、その時私はなかなか眠れず、しばらくの間ぼーっと天井を眺めていました。<br>
すると突然。静まり返った部屋で、「カン、カン」という変な音が響いだのです。<br>
私は布団からガバッと起き、暗い部屋を見回しました。しかし、そこには何もない。<br>
カン、カン<br>
少しして、さっきと同じ音がまた聞こえました。どうやら居間の方から鳴ったようです。<br>
隣にいた姉が、「今の聞こえた？」と訊いてきました。空耳などではなかったようです。<br>
もう一度部屋の中を見渡してみましたが、妹と母が寝ているだけで部屋には何もありません。<br>
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'''271 ：270続き：02/08/21 23:14'''<br>
おかしい・・・確かに金属のような音で、それもかなり近くで聞こえた。<br>
姉もさっきの音が気になったらしく、「居間を見てみる」と言いました。<br>
私も姉と一緒に寝室から出て、真っ暗な居間の中に入りました。<br>
そしてキッチンの近くから、そっと居間を見ました。<br>
そこで私達は見てしまったのです。<br>
居間の中央にあるテーブル。いつも私達が食事を取ったり団欒したりするところ。<br>
そのテーブルの上に、人が座っているのです。<br>
こちらに背を向けているので顔までは判りません。<br>
でも、腰の辺りまで伸びている長い髪の毛、ほっそりとした体格、身につけている白い浴衣のような着物から、<br>
女であるということは判りました。<br>
私はぞっとして姉の方を見ました。姉は私の視線には少しも気付かず、その女に見入っていました。<br>
その女は真っ暗な居間の中で、背筋をまっすぐに伸ばしたままテーブルの上で正座をしているようで、ぴくりとも動きません。<br>
私は恐ろしさのあまり足をガクガク震わせていました。<br>
声を出してはいけない、もし出せば恐ろしい事になる。<br>
その女はこちらには全く振り向く気配もなく、ただ正座をしながら私達にその白い背中を向けているだけだった。<br>
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私はとうとう耐え切れず、「わぁーーーーーっ！！」と大声で何か叫びながら寝室に飛び込んだ。<br>
母を叩き起こし、「居間に人がいる！」と泣き喚いた。<br>
「どうしたの、こんな夜中に」<br>
そう言う母を引っ張って居間に連れていった。<br>
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居間の明りを付けると、姉がテーブルの側に立っていた。<br>
さっきの女はどこにも居ません。テーブルの上もきちんと片付けられていて何もありません。<br>
しかし、そこにいた姉の目は虚ろでした。今でもはっきりと、その時の姉の表情を覚えています。<br>
私と違って彼女は何かに怯えている様子は微塵もなく、テーブルの上だけをじっと見ていたのです。<br>
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'''275 ：270続き：02/08/21 23:16'''<br>
母が姉に何があったのか尋ねてみたところ、「あそこに女の人がいた」とだけ言いました。<br>
母は不思議そうな顔をしてテーブルを見ていましたが、「早く寝なさい」と言って、３人で寝室に戻りました。<br>
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私は布団の中で考えました。アレを見て叫び、寝室に行って母を起こして、居間に連れてきたちょっとの間、<br>
姉は居間でずっとアレを見ていたんだろうか？<br>
姉の様子は普通じゃなかった。何か恐ろしいものを見たのでは？そう思っていました。<br>
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そして次の日、姉に尋ねてみたのです。<br>
「お姉ちゃん、昨日のことなんだけど・・・」<br>
そう訊いても姉は何も答えません。下を向いて沈黙するばかり。<br>
私はしつこく質問しました。<br>
すると姉は、小さな声でぼそっとつぶやきました。<br>
「あんたが大きな声を出したから・・・」<br>
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それ以来、姉は私に対して冷たくなりました。<br>
話し掛ければいつも明るく反応してくれていたのに、無視される事が多くなりました。<br>
そして、あの時の事を再び口にすることはありませんでした。<br>
あの時、私の発した大声で、あの女はたぶん、姉の方を振り向いたのです。<br>
姉は女と目が合ってしまったんだ。きっと、想像出来ない程恐ろしいものを見てしまったのだ。<br>
そう確信していましたが、時が経つにつれて、次第にそのことも忘れていきました。<br>
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'''276 ：270続き：02/08/21 23:17'''<br>
中学校に上がって受験生になった私は、毎日決まって自分の部屋で勉強するようになりました。<br>
姉は県外の高校に進学し、寮で生活して、家に帰ってくることは滅多にありませんでした。<br>
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ある夜、遅くまで机に向かっていると、扉の方からノックとは違う何かの音が聞こえました。<br>
カン、カン<br>
かなり微かな音です。金属っぽい音。<br>
それが何なのか思い出した私は、全身にどっと冷や汗が吹き出ました。<br>
これはアレだ。小さい頃に母が風邪をひいて、私が代わって消灯をした時の・・・<br>
カン、カン<br>
また鳴りました。扉の向こうから、さっきと全く同じ金属音。<br>
私はいよいよ怖くなり、妹の部屋の壁を叩いて「ちょっと、起きて！」と叫びました。<br>
しかし、妹はもう寝てしまっているのか、何の反応もありません。母は最近ずっと早寝している。<br>
とすれば、家の中でこの音に気付いているのは私だけ・・・。<br>
独りだけ取り残されたような気分になりました。<br>
そしてもう１度あの音が。<br>
カン、カン<br>
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私はついに、その音がどこで鳴っているのか分かってしまいました。<br>
そっと部屋の扉を開けました。真っ暗な短い廊下の向こう側にある居間。<br>
そこはカーテンから漏れる青白い外の光でぼんやりと照らし出されていた。<br>
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'''279 ：270続き：02/08/21 23:19'''<br>
キッチンの側から居間を覗くと、テーブルの上にあの女がいた。<br>
幼い頃、姉と共に見た記憶が急速に蘇ってきました。<br>
あの時と同じ姿で、女は白い着物を着て、すらっとした背筋をピンと立て、<br>
テーブルの上できちんと正座し、その後姿だけを私に見せていました。<br>
カン、カン<br>
今度ははっきりとその女から聞こえました。<br>
その時、私は声を出してしまいました。<br>
何と言ったかは覚えていませんが、またも声を出してしまったのです。<br>
すると女は私を振り返りました。<br>
女の顔と向き合った瞬間、私はもう気がおかしくなりそうでした。<br>
その女の両目には、ちょうど目の中にぴったり収まる大きさの鉄釘が刺さっていた。<br>
よく見ると、両手には鈍器のようなものが握られている。<br>
そして口だけで笑いながらこう言った。<br>
「あなたも・・・あなた達家族もお終いね。ふふふ」<br>
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次の日、気がつくと私は自分の部屋のベッドで寝ていました。<br>
私は少しして昨日何があったのか思い出し、<br>
母に、居間で寝ていた私を部屋まで運んでくれたのか、と聞いてみましたが、何のことだと言うのです。<br>
妹に聞いても同じで、「どーせ寝ぼけてたんでしょーが」とけらけら笑われた。<br>
しかも、私が部屋の壁を叩いた時には、妹は既に熟睡してたとのことでした。<br>
そんなはずない。<br>
私は確かに居間でアレを見て、そこで意識を失ったはずです。<br>
誰かが居間で倒れてる私を見つけて、ベッドに運んだとしか考えられない。<br>
でも改めて思い出そうとしても、頭がモヤモヤしていました。<br>
ただ、最後のあのおぞましい表情と、ニヤリと笑った口から出た言葉ははっきり覚えていた。<br>
私と、家族がお終いだと。<br>
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'''474 ：270：02/08/22 23:33'''<br>
異変はその日のうちに起こりました。<br>
私が夕方頃、学校から帰ってきて玄関のドアを開けた時です。<br>
いつもなら居間には母がいて、キッチンで夕食を作っているはずであるのに、居間の方は真っ暗でした。<br>
電気が消えています。<br>
「お母さん、どこにいるのー？」<br>
私は玄関からそう言いましたが、家の中はしんと静まりかえって、まるで人の気配がしません。<br>
カギは開いているのに・・・掛け忘れて買い物にでも行ったのだろうか。<br>
のんきな母なので、たまにこういう事もあるのです。<br>
やれやれと思いながら、靴を脱いで家に上がろうとしたその瞬間、<br>
カン、カン<br>
居間の方で何かの音がしました。<br>
私は全身の血という血が、一気に凍りついたような気がしました。<br>
数年前と、そして昨日と全く同じあの音。<br>
ダメだ。これ以上ここに居てはいけない。恐怖への本能が理性をかき消しました。<br>
ドアを乱暴に開け、無我夢中でアパートの階段を駆け下りました。<br>
一体何があったのだろうか？お母さんは何処にいるの？妹は？<br>
家族の事を考えて、さっきの音を何とかして忘れようとしました。<br>
これ以上アレの事を考えていると、気が狂ってしまいそうだったのです。<br>
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すっかり暗くなった路地を走りに走った挙句、私は近くのスーパーに来ていました。<br>
「お母さん、きっと買い物してるよね」と一人で呟き、切れた息を取り戻しながら中に入りました。<br>
時間帯が時間帯なので、店の中に人はあまりいなかった。<br>
私と同じくらいの中学生らしき人もいれば、夕食の材料を調達しに来たと見える主婦っぽい人もいた。<br>
その至って通常の光景を見て、少しだけ気分が落ち着いてきたので、私は先ほど家で起こった事を考えました。<br>
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'''475 ：270：02/08/22 23:35'''<br>
真っ暗な居間、開いていたカギ、そしてあの金属音。家の中には誰もいなかったはず。アレ以外は。<br>
私が玄関先で母を呼んだ時の、あの家の異様な静けさ。あの状態で人なんかいるはずがない・・・<br>
でも、もし居たら？私は玄関までしか入っていないのでちゃんと中を見ていない。ただ電気が消えていただけ。<br>
もしかすると母は、どこかの部屋で寝ていて、私の声に気付かなかっただけかもしれない。<br>
何とかして確かめたい。そう思い、私は家に電話を掛けてみることにしたのです。<br>
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スーパーの脇にある公衆電話。お金を入れて、震える指で慎重に番号を押していきました。<br>
受話器を持つ手の震えが止まりません。１回、２回、３回・・・・コール音が頭の奥まで響いてきます。<br>
『ガチャ』<br>
誰かが電話を取りました。私は息を呑んだ。耐え難い瞬間。<br>
『もしもし、どなたですか』<br>
その声は母だった。その穏やかな声を聞いて、私は少しほっとしました・・・<br>
「もしもし、お母さん？」<br>
『あら、どうしたの。今日は随分と遅いじゃない。何かあったの？』<br>
私の手は再び震え始めました。手だけじゃない。足もガクガク震え出して、立っているのがやっとだった。<br>
あまりにもおかしいです。いくら冷静さを失っていた私でも、この異常には気付きました。<br>
「なんで・・・お母さ・・・」<br>
『え？なんでって何が・・・ちょっと、大丈夫？本当にどうしたの？』<br>
お母さんが今、こうやって電話に出れるはずはない。私の家には居間にしか電話がないのです。<br>
さっき居間にいたのはお母さんではなく、あのバケモノだったのに。<br>
なのにどうして、この人は平然と電話に出ているのだろう。<br>
それに、今日は随分と遅いじゃないと、まるで最初から今までずっと家にいたかのような言い方。<br>
私は電話の向こうで何気なく私と話をしている人物が、得体の知れないもののようにしか思えなかった。<br>
そして、乾ききった口から何とかしぼって出した声がこれだった。<br>
「あなたは、誰なの？」<br>
『え？誰って・・・』<br>
少しの間を置いて返事が聞こえた。<br>
『あなたのお母さんよ。ふふふ』<br>
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'''481 ：しねしね団：02/08/22 23:47'''<br>
>>270<br>
ところで、その日は君はアパートに帰ったのかい？<br>
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'''484 ：270：02/08/22 23:54'''<br>
>>481<br>
次の日、姉と一緒に戻りました。<br>
その後の話もあるのですが、やや蛇足気味になるんでやめときます。<br>
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== 外部リンク ==
引用元：死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない？17


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[[Category:怪談]]

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