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==危険な好奇心5== 【携帯】連投できない人の怖い話 3投目【歓迎】<br> <br> '''186 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/25(木) 09:13:15 ID:JIG/s1vbO'''<br> 俺は自室のベットに横になり、一人考えた。<br> 人間は、あそこまで変わることが出来るのか?<br> 昔、鬼の形相でハッピー・タッチを殺し、俺を、慎を、淳を追い詰め、放火までしようとした奴が。<br> 「ごめんね」など、心から償いの言葉を発することが出来るのか。<br> いや、ひょっとしてあの事件をきっかけに、俺が変わってしまったのか?<br> 疑心暗鬼になり、他人を信じる事が出来ない、『冷たい人間』になってしまったのか?<br> 『中年女』の謝罪の言葉を信じることで、あの事件の精神的な呪縛から解放されるのか?<br> もう一度『中年女』に会い、直接話すべきだ。<br> 俺は『中年女』にもう一度会うこと、今度は逃げないこと!と決意を固め、その日は就寝した。<br> <br> <br> '''187 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/25(木) 09:15:28 ID:JIG/s1vbO'''<br> 次の日、俺はバイトを休み病院に行った。<br> まずは淳の病室に入り、昨日の出来事を説明した。<br> そして、今日は『中年女』に会い、直接話してみるつもりだ。と言う事を伝えた。<br> 淳は最初、「『中年女』は変わっていない!」と俺の意見に反対だったが、<br> 「このまま一生、中年女の存在に怯え、トラウマを抱えたまま生きていくのか?」と俺が言うと、<br> 「・・・『中年女』に会って話すんだったら、俺も付き合う・・・」と言ってくれた。<br> <br> <br> '''218 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 02:59:44 ID:/lsJmPn1O'''<br> しばらく沈黙が続いた。<br> 刻々と時間は過ぎ、面会時間終了のチャイムが鳴ると同時に、ガラガラガラ・・・<br> 廊下の奥の方から、ゴミ運搬台車の音が聞こえてきた。<br> 「来たな・・・」<br> 淳がボソッと呟いた。<br> 俺は固唾を飲んで、部屋の扉へ視線を送った。<br> ガラガラガラ<br> 台車の音が部屋の前で止まった。<br> 部屋の扉が開いた。<br> 作業服の『中年女』、が会釈しながら入室してきた。俺と淳はその姿を目で追った。<br> 『中年女』は、奥のベットから順にゴミ箱のゴミを回収し始めた。<br> 「ごくろうさん」と患者から声を掛けられ、笑顔で会釈をする中年女。<br> とても昔の『中年女』と同一人物とは思えない。<br> <br> そしてついに、淳のベットのゴミ回収に『中年女』がやってきた。<br> <br> <br> '''219 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 03:20:27 ID:/lsJmPn1O'''<br> 『中年女』はこちらに一切目を合わせず、軽く会釈をし、ゴミを回収し始めた。<br> 俺は何と声を掛けていいのかわからず、しばらく中年女の様子を伺っていたが、<br> 淳が「おばさん!どーゆーつもりだよ?」と 切り出した。<br> 中年女はピタッと作業の手を止め、俯いたまま静止した。<br> 淳は続けて、「あんた、俺の事覚えてたんだろ?俺には謝罪の言葉一つも無いの?」<br> 俺はドキドキした。まさか淳が急にキレ口調で話すなんて、予想外だった。<br> 中年女は俯いたまま、「ごめんねぇ・・・』と、か細い声を出した。<br> 淳はその素直な返答に驚いたのか、キョトンとした目で俺を見て来た。<br> 俺は「おばさん・・・本当に反省してるんだよね?」と聞いてみた。<br> すると中年女はこちらを向き、<br> 「本当にごめんなさい。私があんな事したから淳君、こんな事故に遭っちゃって・・・<br> 私があんな事したから・・・ほんとゴメンね!」と。<br> 俺と淳は更にキョトンとした。何か話がズレてないか?<br> 俺は「いや、昔あんた、犬に酷い事したり、俺ん家にきたり、すべてひっくるめて!」と言った。<br> <br> <br> '''221 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 03:44:26 ID:/lsJmPn1O'''<br> 中年女は、<br> 「本当にごめんなさい!私が、私があんな事さえしなければ・・・こんな事故・・・<br> ごめんね!本当にごめんね!」<br> と、泣きそうな声で言った。<br> その態度、会話を聞いていた病室内の患者の視線が、一斉にこちらに注目していた。<br> 静まり返った病室に、「ゴメンね!ごめんなさい!ゴメンなさぃ!」と、中年女の声だけが響いた。<br> 淳は少し恥ずかしそうに、「もういいよ!だいたい、俺が事故ったの、アンタとは一切関係ねーよ!」と吐き捨てた。<br> 中年女はペコペコ頭を下げながら、淳のベットのゴミを回収し、<br> 最後に「ごめんなさい・・・」と言い、そそくさと病室から出て行った。<br> <br> その光景を周りの患者が見ていたので、しばらく病室は変な空気が流れた。<br> 淳は「何なんだよ!あのオバハン!俺は普通に事故っただけだっつーの。何勘違いしてやがんだよ!」<br> と言いながら枕をドツイた。<br> 俺は『中年女』の行動、言動を聞いていてハッキリと思った。<br> やはり『中年女』は少しおかしい。<br> いや、謝罪は心からしているのだろうが、アイツは呪いの儀式を行った事を謝っていた。<br> 呪いを本気で信じているようだった。<br> <br> <br> '''222 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 03:58:35 ID:/lsJmPn1O'''<br> 淳は、<br> 「あの頃は無茶苦茶怖い存在やって、今だにトラウマでビビってたけど、<br> さっき喋って思ったんは、単なるオカルト信者のオバはんやって事やな!」<br> と、何処かしら憑き物が取れたと言うか、清々しい表情で言った。<br> 俺は「あぁ昔と違って、俺らの方が体もデカくなったしな!」と調子を合わせた。<br> 「さて、とりあえず一件落着したし、俺帰るわ!」<br> 「おぅ!また暇な時来てや!」<br> と言葉を交わし、俺は病室を出た。<br> <br> 家に帰る途中、俺は慎の事を思い出した。<br> アイツにもこの事を伝えてやろうと。<br> アイツも今回の話を聞かせてやれば、あの日のトラウマが無くなるのでは無いか、と。<br> <br> <br> '''250 :247の前:2006/06/02(金) 02:39:56 ID:6rqtwJH50'''<br> <br> ''':『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:06/06/01 02:47:31 ID:HcpydJoy'''<br> 家に帰り早速、慎と同じサッカー部だった奴に電話をかけ、慎の携帯番号を聞いた。<br> そして慎の携帯に電話を掛けた。<br> 『おう!ひさしぶり!』<br> なつかしい慎の声。<br> 俺はしばし慎と、最近どうよ?的な話をした後、<br> 淳が事故って入院したこと、その病院に『中年女』が清掃員として働いていること、<br> 『中年女』が昔と別人のように、心を入れ替えている事を話した。<br> 慎は『中年女』が謝罪してきたことに対し、たいそう驚いていた。<br> そして最後に慎は、『淳が退院したら三人で快気祝いをしよう』と言った。<br> もちろん俺は賛成し、「淳の退院のメドがつき次第連絡する」と伝えた。<br> <br> その翌日、俺は病院に行き、<br> 淳に「慎がおまえの退院が決まり次第、こっちに帰って来て快気祝いしようってよ!」と伝えた。<br> 淳はたいそう喜んでいた。<br> <br> <br> '''247 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/02(金) 00:51:34 ID:Cc3LUK3SO'''<br> それから一週間程、病院に見舞いには行っていなかった。<br> 別に理由は無いが、新学期も始まり、なかなか行く時間が無かったというのもある。<br> それに『中年女』が更正(?)しているようだったので、心配も以前ほどはしていなかった。<br> 何かあれば、淳から電話があるだろうと思っていた。<br> <br> そんなある日、淳から電話が掛かってきた。<br> 内容は、『来週退院する!』との事だった。<br> 俺は「良かったな!」と祝福の言葉と共に、『中年女』の動向を聞いたが、<br> 『普通にゴミ回収の仕事をしている。特に何もない』との事だった。<br> <br> そして、さらに一週間が経ち、淳は退院した。<br> 俺は学校帰りに、淳の家に立ち寄った。<br> チャイムを押すと、松葉杖をつきながら淳が出てきた。<br> 「おぅ!上がれよ!」<br> 足にはギブスをはめたままだったが、すっかり元気そうだった。<br> 淳の部屋でしばし雑談をした。<br> <br> 夕方になり俺は帰宅。夕飯を喰った後、慎に電話をした。<br> 「淳、退院したぜ!」<br> 『まぢ!そっか、じゃあ快気祝いしなくちゃな!<br> すぐにでも行きたいけど、部活が忙しいから、月末頃にそっち行くよ!』<br> との事だった。<br> <br> <br> '''280 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/05(月) 01:40:06 ID:ZlsKc24yO'''<br> そして月末の土曜日。<br> 俺、慎、淳。<br> 小学校以来、久しぶりの三人での再会だった。<br> 昼に駅前のマクドで落ち合った。<br> 久しぶりに会った慎は、冬なのに浅黒く日焼けし、少しギャル男気味だった。<br> まぁそれはさておき、夕方まで色々と語った。<br> それぞれの高校の話。<br> 恋の話。<br> 昔の思い出話・・・<br> もちろん、『中年女』の話題も出てきた。<br> あの時、それぞれが何よりも恐ろしく感じていた『中年女』も、今となればゴミ回収のおばさん。<br> 病院での出来事を、俺と淳が慎に詳しく話してやると、<br> 慎は「あの頃と違って、今ならアイツが襲って来てもブッ飛ばせるしな!」と笑いとばした。<br> もう俺達にとって『中年女』は過去の人物、遠い昔話で、トラウマでも無くなっていた。<br> <br> <br> '''282 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/05(月) 01:59:26 ID:ZlsKc24yO'''<br> 夕方になり、俺達はカラオケBOXに行った。<br> 久しぶりの三人での再会と言うこともあり、俺達は再会を祝して酒を注文した。<br> まぁ酒と言っても酎ハイだが・・・<br> 当時の俺達は充分に酔えた。<br> 各々、4、5杯ぐらい飲み、皆ほろ酔いだった。<br> いい気分で歌を歌い、かなりHIGHテンションだった。<br> <br> そして二時間経ち、歌にも飽き出した時、慎がある提案をした。<br> 「よーし、今から秘密基地に行くぞ!あの時、見捨てちまったハッピーとタッチの供養をしに行くぞ!」と。<br> 一瞬、空気が凍った。<br> 俺も淳も言葉を失った。<br> まさか、あの場所に行こうなんて、予想外の発言だったから。<br> 慎はそんな俺達を挑発するように、<br> 「オメーら変わってねーな!まぢでビビっんの?!ハハッ!」と、少し悪酔い?していた。<br> その言葉に酔っ払い淳が反応し、「あ?誰がビビるかよ!喧嘩売ってんのか慎?」とキレ出した。<br> <br> <br> '''283 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/05(月) 02:18:28 ID:ZlsKc24yO'''<br> 俺は酔いながらも空気を読み、<br> 「おいおい、やめとけって!第一、淳まだ杖突いてんだぜ?」と言うと慎がすかさず、<br> 「あ、そっか。杖ツイてちゃ逃げれねーしな。ハハハ♪」と、かなりの悪酔いしていた。<br> 淳は益々ムキになり、<br> 「うるせーよ!行きてーんなら行ってやるよ!お前こそ途中でビビんぢゃねーぞ?」<br> と、まるで子供の喧嘩のようになり、<br> 結局『ハッピーとタッチの冥福を祈りに』と言う名目で行くことになった。<br> 慎、淳は二人とも結構酔っていたのと、引くに引けなかったんだと思う。<br> まぁ、ハッピーとタッチの供養はいずれしなければならないと思っていたので、いい機会かもと少し思った。<br> 三人なら恐さも薄れるし。<br> <br> カラオケBOXを出てコンビニに寄り、あの2匹が大好きだった『うまい棒』と『コーラ』を買い込み、<br> タクシーで一旦俺の家に寄り、照明道具を取って来てから、あの裏山へ向かった。<br> <br> <br> '''293 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/06(火) 10:37:00 ID:UBma/3yTO'''<br> タクシー運転手に怪しげな目で見られつつ、山の入口でタクシーを降りた。<br> 俺は三人でよく遊んだ裏山という懐かしさと共に、あの日の出来事を思い出した。<br> こんな夜更けに、また入ることになるとは・・・<br> そんな俺の気持ちも知らずに、淳は意気揚々と「さぁ、入ろうぜ!」と、杖を突きながらズカズカと入っていく。<br> その後ろをニヤニヤしながら慎が、明かりを燈しながらついて行った。<br> 俺は「淳、足元気つけろよ!」と言い、慎に続いた。<br> <br> いざ山に入ると、昔と景色が変わっていることに驚いた。<br> いや、景色が変わったのでは無く、俺達がデカくなったから景色が変わって見えているのか?<br> 登山途中、慎が淳をからかうように、<br> 「中年女がいたらどーする?俺、お前置いて逃げるけど♪」等、冗談ばかり言っていた。<br> 思いの外スムーズに進め、30分程であの場所に到達した。<br> <br> <br> '''295 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/06(火) 11:27:49 ID:UBma/3yTO'''<br> 初めて『中年女』と会った場所。<br> 俺達は黙り込み、ゆっくりと明かりを燈しながら、あの樹に近づいた。<br> あの日、中年女が呪いの儀式をしていた樹・・・<br> 間近に寄り、明かりを燈した。<br> 今は何も打ち込まれておらず、普通の大木になっていた。<br> しかし、古い釘痕は残っていた。所々、穴が開いていた。<br> 恐らく、警察がすべて抜いたのだろう。<br> <br> しばらく三人で釘痕を眺めていた。<br> そして慎が、「ここらへんでハッピーが死んでたんだよな・・・」と、地面を照らした。<br> さすがにもうハッピーの遺体は無かったが、ハッキリとその場所は覚えている。<br> 俺はその場に『うまい棒』と『コーラ』を供えた。<br> そして三人で手を合わせ、次は『タッチ』の元へ。<br> 秘密基地跡へ向かった。<br> <br> <br> '''320 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 09:30:31 ID:dXfc2GpkO'''<br> 秘密基地に向かう途中、淳が「色々あったけど、やっぱ懐かしいよな」とポツリと言った。<br> すると慎が、「あぁ。あの夜、秘密基地に泊まりに来なければ、嫌な思い出なんて無かっただろうな」と言った。<br> 確かに。この山で『中年女』に会わなければ、ここは俺達にとっては聖地だったはずだ。<br> <br> 「ここらへんだったよな・・・」<br> 慎が立ち止まった。<br> 秘密基地跡地。<br> もう跡形も無かった。あの日バラバラにされていた材木すら、一枚も無かった。<br> 淳が無言でしゃがみ込み、『うまい棒』『コーラ』を置き、手を合わせた。<br> 俺と慎も手を合わせた。<br> <br> しばらく黙祷したのち、慎が言った。<br> 「ハッピーとタッチがいなけりゃ・・・今頃俺達いなかったかもな」<br> 淳「あぁ・・・」<br> 俺「そうだよな・・・結局、『中年女』も更正して、なんだか、やっと悪夢から解放された感じだな」<br> しばらく沈黙が続いた。<br> <br> ふと慎が、周囲や目の前の池を電灯で照らし、<br> 「この場所、あの頃は俺らだけの秘密の場所だったのに、結構来てる奴いるみたいだな」と。<br> 慎が燈す場所を見ると、スナック菓子の袋や空き缶が、結構落ちていることに気付いた。<br> <br> <br> '''323 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 09:53:04 ID:dXfc2GpkO'''<br> 俺は「ほんとだな。あの頃はゴミなんて全然無かったもんな。今の小学生、この場所しってんのかな?」と言った。<br> 淳が続けて、「あの時は俺ら、まじめにゴミは持ち帰ってたもんな」と言った。<br> その時、慎が「うわっ!何だこれ!」と叫んだ。<br> 俺と淳はその声に驚き、慎の照らす明かりの先に視線をやった。<br> 一本の木に、何やらゴミが張り付いている。<br> よく見ると、無数の菓子袋や空き缶、雑誌が木に釘で打ち付けられていた。<br> 「なんだこれ?!」<br> 慎が明かりを照らしながら近づいていった。<br> 俺と淳も後をついて行った。<br> 「誰かのイタズラ??」<br> 俺はマヂマヂと、打ち付けられたゴミを見た。<br> その時、<br> 「あぁぁぁ・・・これ・・・俺の、ゴミぃ・・・ぁぁぁぁあ・・・」<br> と、淳が震えた声で言いながら硬直した。<br> 「は?!」<br> 俺と慎は聞き直した。<br> 淳は、「あ゛ぁぁぁ・・・俺が、病院で捨てた・・・あぁぁ・・・」と言いながら後ずさりした。<br> <br> <br> '''325 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 10:06:39 ID:dXfc2GpkO'''<br> 慎が「おい!淳!しっかりしろ!んなわけねーだろ!」と怒鳴りながら、釘で打たれた一枚の菓子袋を引きちぎった。<br> それを見て淳は、「あー、ぁあぁ・・・」と奇妙な声を出し、尻餅を付いた。<br> その行動に俺と慎は呆気に取られたが、次の瞬間「うわっ!」と、慎が手に持っていた袋を投げた。<br> 「え?!」と俺がその袋に目をやると、袋の裏に『淳呪殺』とマジックで書かれていた。<br> 俺はまさか?と思い、木に釘打たれたゴミを片っ端から引き剥がし、裏を見た。<br> <br> 『淳呪殺』<br> 『淳呪殺』<br> 『淳呪殺』<br> 『淳呪殺』<br> <br> すべてのゴミに書かれていた。<br> 淳は口をパクパクさせながら、尻餅を付いた状態で固まっていた。<br> 慎が何気に周囲に落ちていたゴミを拾い、「おい!これ!」と俺に見せてきた。<br> <br> 『淳呪殺』<br> <br> なんと、周囲に落ちているゴミにも書かれていた。<br> <br> <br> '''328 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 10:21:17 ID:dXfc2GpkO'''<br> 俺はその時、初めて気付いた。<br> 『中年女』は更正なんて、はじめからしていなかったんだ。ずっと俺達を怨んでいたんだ。<br> 病院でゴム手袋をして必死で分別していたのも、淳のゴミだけを分けていたんだ!<br> 俺達に「ごめんね」と言っていたのも全部嘘だったんだ。<br> 俺は急にとてつもなく寒気を感じ、此処にいてはいけない!と本能的に思い、<br> 淳に「おい!しっかりしろ!行くぞ!」と言ったが、<br> 「俺の・・・ゴミ・・・俺のゴミ・・・』と、淳は壊れていた。発狂していた。<br> とりあえず慎と俺で淳を担ぎ、山を降りた。<br> <br> あれから8年、あの日以来、もちろん山には行っていない。<br> 『中年女』とも会っていない。<br> まだ俺達を怨んでいるんだろうか?<br> どこかで見られているんだろうか?<br> しかし、俺達三人は生きている。<br> ただ、未だに淳は歩く事が出来ない。<br> <br> <br>
編集内容の要約:
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