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| 俺は乾いた笑いしか出来なかった。あれがゴミ処理場で処分されていること、 <br> | | 俺は乾いた笑いしか出来なかった。あれがゴミ処理場で処分されていること、 <br> |
| そして2つ目がないことを、俺は無意識に祈っていた。 <br> | | そして2つ目がないことを、俺は無意識に祈っていた。 <br> |
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| '''183 本当にあった怖い名無し 2006/05/13(土) 13:10:26 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 先日、アンティーク好きな彼女とドライブがてら、骨董店やリサイクルショップを回る事になった。 <br>
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| 俺もレゲーとか古着など好きで、掘り出し物のファミコンソフトや古着などを <br>
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| 集めていた。買うものは違えども、そのような物が売ってる店は同じなので、 <br>
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| 楽しく店を巡っていた。お互い掘り出し物も数点買う事ができ、テンション上がったまま <br>
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| 車を走らせていると、一軒のボロッちい店が目に付いた。 <br>
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| 「うほっ！意外とこんな寂れた店に、オバケのQ太郎ゴールドバージョンが眠ってたりすんだよな」 <br>
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| 浮かれる俺を冷めた目で見る彼女と共に、俺は店に入った。 <br>
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| コンビニ程度の広さの、チンケな店だった。主に古本が多く、家具や古着の類は <br>
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| あまり置いていない様だった。ファミコンソフトなど、「究極ハリキリスタジアム」が <br>
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| 嫌がらせのように1本だけ埃を被って棚に置いてあるだけだった。もう出ようか、と言いかけた時、 <br>
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| 「あっ」 <br>
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| と彼女が驚嘆の声を上げた。俺が駆け寄ると、 <br>
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| ぬいぐるみや置物などが詰め込まれた、バスケットケースの前で彼女が立っていた。 <br>
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| 「何か掘り出し物あった？」 <br>
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| 「これ、凄い」 <br>
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| そう言うと彼女は、バスケットケースの1番底に押し込まれる様にあった、 <br>
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| 正20面体の置物を、ぬいぐるみや他の置物を掻き分けて手に取った。 <br>
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| 今思えば、なぜバスケットケースの1番底にあって外からは見えないはずの物が <br>
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| 彼女に見えたのか、不思議な出来事はここから既に始まっていたのかもしれない。 <br>
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| <br> | | <br> |
| http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/polygon.htm ←正20面体はこれを参考までに <br>
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| <br> | | <br> |
| '''184 RINFONE Ⅱ 2006/05/13(土) 13:20:06 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 「何これ？プレミアもん？」 <br>
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| 「いや、見たことないけど…この置物買おうかな」 <br>
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| まぁ、確かに何とも言えない落ち着いた色合いのこの置物、オブジェクトと <br>
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| しては悪くないかもしれない。俺は、安かったら買っちゃえば、と言った。 <br>
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| レジにその正20面体を持って行く。しょぼくれたジイさんが古本を読みながら座っていた。 <br>
| |
| 「すいません、これいくらですか？」 <br>
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| その時、俺は見逃さなかった。ジイさんが古本から目線を上げ、正20面体を見た時の表情を。 <br>
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| 驚愕、としか表現出来ないような表情を一瞬顔に浮かべ、すぐさま普通のジイさんの表情になった。 <br>
| |
| 「あっ、あぁ…これね…えーっと、いくらだったかな。ちょ、ちょっと待っててくれる？」 <br>
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| そう言うとジイさんは、奥の部屋（おそらく自宅兼）に入っていった。奥さんらしき老女と何か <br>
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| 言い争っているのが断片的に聞こえた。やがて、ジイさんが1枚の黄ばんだ紙切れを持ってきた。 <br>
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| 「それはね、いわゆる玩具の1つでね、リンフォンって名前で。この説明書に詳しい事が書いてあるんだけど」 <br>
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| ジイさんがそう言って、黄ばんだ汚らしい紙を広げた。随分と古いものらしい。 <br>
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| 紙には例の正20面体の絵に「RINFONE（リンフォン）」と書かれており、 <br>
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| それが「熊」→「鷹」→「魚」に変形する経緯が絵で描かれていた。 <br>
| |
| わけの分からない言語も添えてあった。ジイさんが言うにはラテン語と英語で書かれているらしい。 <br>
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| 「この様に、この置物が色んな動物に変形出来るんだよ。まず、リンフォンを両手で <br>
| |
| 包み込み、おにぎりを握るように撫で回してごらん」 <br>
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| 彼女は言われるがままに、リンフォンを両手で包み、握る様に撫で回した。 <br>
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| すると、「カチッ」と言う音がして、正20面体の面の1部が隆起したのだ。 <br>
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| <br>
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| '''185 RINFONE Ⅲ 2006/05/13(土) 13:37:16 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 「わっ、すご～い」 <br>
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| 「その出っ張った物を回して見たり、もっと上に引き上げたりしてごらん」 <br>
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| ジイさんに言われるとおりに彼女がすると、今度は別の1面が陥没した。 <br>
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| 「すご～い！パズルみたいなもんですね！ユウ（←俺の敬称）もやってみたら」 <br>
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| この仕組みを言葉で説明するのは凄く難しいのだが、「トランスフォーマー」と言う <br>
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| 玩具をご存知だろうか？カセットテープがロボットに変形したり、拳銃やトラックが <br>
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| ロボットに…と言う昔流行った玩具だ。このリンフォンも、正20面体のどこかを <br>
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| 押したり回したりすると、熊や鷹、魚などの色々な動物に変形する、と想像してもらいたい。 <br>
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| もはや、彼女はリンフォンに興味深々だった。俺でさえ凄い玩具だと思った。 <br>
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| 「あの…それでおいくらなんでしょうか？」彼女がおそるおそる聞くと、 <br>
| |
| 「それねぇ、結構古いものなんだよね…でも、私らも置いてある事すら忘れてた <br>
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| 物だし…よし、特別に1万でどうだろう？ネットなんかに出したら好きな人は <br>
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| 数十万でも買うと思うんだけど」 <br>
| |
| そこは値切り上手の彼女の事だ。結局は6500円にまでまけてもらい、ホクホク顔で店を出た。 <br>
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| 次の日は月曜日だったので、一緒にレストランで晩飯を食べ終わったら、お互いすぐ帰宅した。 <br>
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| <br>
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| '''187 本当にあった怖い名無し sage 2006/05/13(土) 13:59:07 ID:nq8M5WDn0'''<br>
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| ユウ（←俺の敬称） <br>
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| <br>
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| <br>
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| '''189 RINFONE Ⅳ 2006/05/13(土) 14:03:18 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 月曜日。仕事が終わって家に帰り着いたら、彼女から電話があった。 <br>
| |
| 「ユウくん、あれ凄いよ、リンフォン。ほんとパズルって感じで、動物の形になってくの。 <br>
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| 仕事中もそればっかり頭にあって、手につかない感じで。マジで下手なTVゲームより面白い」 <br>
| |
| と一方的に興奮しながら彼女は喋っていた。電話を切った後、写メールが来た。 <br>
| |
| リンフォンを握っている彼女の両手が移り、リンフォンから突き出ている、熊の頭部のような物と <br>
| |
| 足が2本見えた。俺は、良く出来てるなぁと感心し、その様な感想をメールで送り、やがてその日は寝た。 <br>
| |
| <br>
| |
| 次の日、仕事の帰り道を車で移動していると、彼女からメールが。 <br>
| |
| 「マジで面白い。昨日徹夜でリンフォンいじってたら、とうとう熊が出来た。見にきてよ」 <br>
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| と言う風な内容だった。俺は苦笑しながらも、車の進路を彼女の家へと向けた。 <br>
| |
| 「なぁ、徹夜したって言ってたけど、仕事には行ったの？」 <br>
| |
| 着くなり俺がそう聞くと、 <br>
| |
| 「行った行った。でも、おかげでコーヒー飲み過ぎて気持ち悪くなったけど」 <br>
| |
| と彼女が答えた。テーブルの上には、4つ足で少し首を上げた、熊の形になったリンフォンがあった。 <br>
| |
| 「おぉっ、マジ凄くないこれ？仕組みはどうやって出来てんだろ」 <br>
| |
| 「凄いでしょう？ほんとハマるこれ。次はこの熊から鷹になるはずなんだよね。早速やろうかなと思って」 <br>
| |
| 「おいおい、流石に今日は徹夜とかするなよ。明日でいいじゃん」 <br>
| |
| 「それもそうだね」 <br>
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| と彼女は良い、簡単な手料理を2人で食べて、1回SEXして（←書く必要あるのか？寒かったらスマソ） <br>
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| その日は帰った。ちなみに、言い忘れたが、リンフォンは大体ソフトボールくらいの大きさだ。 <br>
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| <br>
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| '''190 RINFONE Ⅴ 2006/05/13(土) 14:05:48 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 水曜日。通勤帰りに、今度は俺からメールした。 <br>
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| 「ちゃんと寝たか？その他もろもろ、あ～だこ～だ…」すると <br>
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| 「昨日はちゃんと寝たよ！今から帰って続きが楽しみ」と返事が返ってきた。 <br>
| |
| そして夜の11時くらいだったか。俺がPS2に夢中になっていると、写メールが来た。 <br>
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| 「鷹が出来たよ～！ほんとリアル。これ造った人マジ天才じゃない？」 <br>
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| 写メールを開くと、翼を広げた鷹の形をしたリンフォンが移してあった。 <br>
| |
| 素人の俺から見ても精巧な造りだ。今にも羽ばたきそうな鷹がそこにいた。 <br>
| |
| もちろん、玩具だしある程度は凸凹しているのだが。それでも良く出来ていた。 <br>
| |
| 「スゲー、後は魚のみじゃん。でも夢中になりすぎずにゆっくり造れよな～」と返信し、やがて眠った。 <br>
| |
| <br>
| |
| 木曜の夜。俺が風呂を上がると、携帯が鳴った。彼女だ。 <br>
| |
| 「ユウくん、さっき電話した？」 <br>
| |
| 「いいや。どうした？」 <br>
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| 「5分ほど前から、30秒感覚くらいで着信くるの。通話押しても、何か街の <br>
| |
| 雑踏のザワザワみたいな、大勢の話し声みたいなのが聞こえて、すぐ切れるの。 <br>
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| 着信見たら、普通（番号表示される）か（非通知）か（公衆）とか出るよね？ <br>
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| でもその着信見たら（彼方（かなた））って出るの。こんなの登録もしてないのに。気持ち悪くて」 <br>
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| 「そうか…そっち行ったほうがいいか？」 <br>
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| 「いや、今日は電源切って寝る」 <br>
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| 「そっか、ま、何かの混線じゃない？あぁ、所でリンフォンどうなった？魚は」 <br>
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| 「あぁ、あれもうすぐ出来るよ、終わったらユウくんにも貸してあげようか」 <br>
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| 「うん、楽しみにしてるよ」 <br>
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| <br>
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| '''204 RINFONE Ⅵ 2006/05/13(土) 14:55:33 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 金曜日。奇妙な電話の事も気になった俺は、彼女に電話して、家に行く事になった。 <br>
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| リンフォンはほぼ魚の形をしており、あとは背びれや尾びれを付け足すと、完成という風に見えた。 <br>
| |
| 「昼にまた変な電話があったって？」 <br>
| |
| 「うん。昼休みにパン食べてたら携帯がなって、今度は普通に（非通知）だったんで出たの。 <br>
| |
| それで通話押してみると、（出して）って大勢の男女の声が聞こえて、それで切れた」 <br>
| |
| 「やっぱ混線かイタズラかなぁ？明日ド０モ一緒に行ってみる？？」 <br>
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| 「そうだね、そうしようか」 <br>
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| その後、リンフォンってほんと凄い玩具だよな、って話をしながら魚を <br>
| |
| 完成させるために色々いじくってたが、なかなか尾びれと背びれの出し方が分からない。 <br>
| |
| やっぱり最後の最後だから難しくしてんのかなぁ、とか言い合いながら、四苦八苦していた。 <br>
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| やがて眠くなってきたので、次の日が土曜だし、着替えも持ってきた俺は <br>
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| 彼女の家に泊まる事にした。 <br>
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| <br>
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| 嫌な夢を見た。暗い谷底から、大勢の裸の男女が這い登ってくる。 <br>
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| 俺は必死に崖を登って逃げる。後少し、後少しで頂上だ。助かる。 <br>
| |
| 頂上に手をかけたその時、女に足を捕まれた。 <br>
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| 「連 れ て っ て よ ぉ ！ ！ 」 <br>
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| 汗だくで目覚めた。まだ午前5時過ぎだった。再び眠れそうになかった俺は、 <br>
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| ボーっとしながら、彼女が置きだすまで布団に寝転がっていた。 <br>
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| <br>
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| '''205 RINFONE Ⅶ 2006/05/13(土) 14:57:04 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| 土曜日。携帯ショップに行ったが大した原因は分からずじまいだった。 <br>
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| そして、話の流れで気分転換に「占いでもしてもらおうか」って事になった。 <br>
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| 市内でも「当たる」と有名な「猫おばさん」と呼ばれる占いのおばさんがいる。 <br>
| |
| 自宅に何匹も猫を飼っており、占いも自宅でするのだ。所が予約がいるらしく、 <br>
| |
| 電話すると、運よく翌日の日曜にアポが取れた。その日は適当に買い物などして、外泊した。 <br>
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| <br>
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| 日曜日。昼過ぎに猫おばさんの家についた。チャイムを押す。 <br>
| |
| 「はい」 <br>
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| 「予約したた００ですが」 <br>
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| 「開いてます、どうぞ」 <br>
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| 玄関を開けると、廊下に猫がいた。俺たちを見ると、ギャッと威嚇をし、 <br>
| |
| 奥へ逃げていった。廊下を進むと、洋間に猫おばさんがいた。文字通り猫に囲まれている。 <br>
| |
| 俺たちが入った瞬間、一斉に「ギャーォ！」と親の敵でも見たような声で威嚇し、 <br>
| |
| 散り散りに逃げていった。流石に感じが悪い。彼女と困ったように顔を見合わせていると、 <br>
| |
| 「すみませんが、帰って下さい」 <br>
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| と猫おばさんがいった。ちょっとムッとした俺は、どういう事か聞くと、 <br>
| |
| 「私が猫をたくさん飼ってるのはね、そういうモノに敏感に反応してるからです。 <br>
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| 猫たちがね、占って良い人と悪い人を選り分けてくれてるんですよ。こんな反応をしたのは始めてです」 <br>
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| 俺は何故か閃くものがあって、彼女への妙な電話、俺の見た悪夢をおばさんに話した。すると、 <br>
| |
| 「彼女さんの後ろに、、動物のオブジェの様な物が見えます。今すぐ捨てなさい」と渋々おばさんは答えた。 <br>
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| それがどうかしたのか、と聞くと <br>
| |
| 「お願いですから帰って下さい、それ以上は言いたくもないし見たくもありません」とそっぽを向いた。 <br>
| |
| <br>
| |
| 彼女も顔が蒼白になってきている。俺が執拗に食い下がり、 <br>
| |
| 「あれは何なんですか？呪われてるとか、良くアンティークにありがちなヤツですか？」 <br>
| |
| おばさんが答えるまで、何度も何度も聞き続けた。するとおばさんは立ち上がり、 <br>
| |
| <br>
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| 「あれは凝縮された極小サイズの地獄です！！地獄の門です、捨てなさい！！帰りなさい！！」 <br>
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| 「あのお金は…」 <br>
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| 「入 り ま せ ん ！ ！」 <br>
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| <br>
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| この時の絶叫したおばさんの顔が、何より怖かった。 <br>
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| <br>
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| <br>
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| '''207 RINFONE Ⅷ 2006/05/13(土) 14:58:32 ID:d6nOfoGU0'''<br>
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| その日彼女の家に帰った俺たちは、 <br>
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| すぐさまリンフォンと黄ばんだ説明書を新聞紙に包み、ガムテープでぐるぐる巻きにして、 <br>
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| ゴミ置き場に投げ捨てた。やがてゴミは回収され、それ以来これといった怪異は起きていない。 <br>
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| 数週間後、彼女の家に行った時、アナグラム好きでもある彼女が、紙とペンを持ち、こういい始めた。 <br>
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| <br>
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| 「あの、リンフォンってRINFONEの綴りだよね。偶然と言うか、こじ付けかもしれないけど、 <br>
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| これを並べ替えるとINFERNO（地 獄）とも読めるんだけど…」 <br>
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| 「…ハハハ、まさか偶然偶然」 <br>
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| 「魚、完成してたら一体どうなってたんだろうね」 <br>
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| 「ハハハ…」 <br>
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| <br>
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| 俺は乾いた笑いしか出来なかった。あれがゴミ処理場で処分されていること、 <br>
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| そして2つ目がないことを、俺は無意識に祈っていた。 <br>
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| 引用元：死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない？129 | | 引用元：死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない？129 |
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