お札の家(後日談)

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513 :本当にあった怖い名無し:2006/10/11(水) 23:32:39 ID:yCprYea9O
最近Sと再会した。キッカケは、同じサークル内の後輩が、Sと同じ地元だとわかってからだった。
後輩に無理言って、先々週の土日を使って、Sの地元に案内してもらった。
中学まで良くSと遊んだというその後輩は、Sの自宅も知っており、
少々強引かと思ったが、前々からSが気になってしょうがない俺は、Sの自宅を訪れた。

朗らかな感じで背の低い、活発そうなSの母親が出てきた。
事情を説明すると驚いていたが、すぐにSを呼んでくれた。
玄関にSが出てきた。髪を坊主にしていた。
突然の訪問に目を丸くしていたが、「よぉ…」と苦笑いしながら、罰の悪そうな声を出した。
本当に久しぶりにSの元気そうな姿を見て、俺は泣きそうになった。

部屋に上げてもらい、色々と話しを聞くコトにした。
妙に緊張してよそよそしい会話だったが、Sは次の様に答えてくれた。
(以下、長い話しなので、ポイント毎に要約して書いていきます)


514 :本当にあった怖い名無し:2006/10/11(水) 23:35:25 ID:yCprYea9O
1、あの夜何が起こったか。
爆睡する自分の横で、ひたすら眠れなかったS。眠れなかったというか、Sは敢えて眠らなかった。
朝まで絶対に気を緩めまいと、固く心に誓ったらしい。

そして深夜、寒くなったSは、布団を取りに押し入れを開けた。
そこにあの女がいた。
Sがリアクションを取る間も無く、その女はSに重なった。
そこからの意識は飛び飛びだったという。

気づくと便器に向けて「ウゲェー!ゲェー!」吐いていて、
「本能的に異物を吐き出そうとしたんかな?」と語っていた。
しかし出てくるのは血ばかり、「自分はここで死ぬかもしれない」と覚悟したらしい。
もう「吐こう」という意識とは関係なく、口から血が溢れてくる。
俺が背中叩いたり名前を呼び続けたのも、覚えていないそうだ。


515 :本当にあった怖い名無し:2006/10/11(水) 23:40:22 ID:yCprYea9O
2、何故突然退院したのか。連絡手段を途絶えさせたのか。
病院の医師曰く、『畑違い』とのコトらしかった。
声帯はほぼ完全に治っており、尚も声が出ないのはSの意識問題、精神面での傷。
つまり、『ウチの管轄外ですよ』と宣告されたそうだ。
Sの母親は、クリニックに通いつつの学業復帰を薦めたが、Sは退院後、大学を辞めて実家に帰ると訴えた。
何と言われようが、絶対に折れなかったらしい。
その後、両親に迎えに来てもらい、Sは実家に帰った。
「半分狂いかけとったなw、でもどうしても、病院やクリニックで何とかなるとは思われんかった」

女は毎日夢に出てきた。以前には無かった、夢遊病の癖もついていたそうだ。
状況が酷くなる前に神社か寺で祓ってもらい、田舎で静かに暮らそうと考えていたらしい。
連絡手段を途絶えさせたのには、ただ「心配させたくなかった」とだけ答えたが、
俺はSが、全てを忘れたかったんじゃないか、と考えている。


516 :本当にあった怖い名無し:2006/10/11(水) 23:47:30 ID:yCprYea9O
3、あの女はどうなったのか。
実家に戻る前に両親に全てを打ち明けていたSは、両親同伴の元、地元にある大きな寺を訪れた。
驚くことに、寺に着くなりSは住職により本堂に案内され、「ここで全てを打ち明けなさい」と言われた。
声の出せないSは、紙とペンで全てを打ち明けようとした。
しかし、突然途中でペンが止まった。
あれだけ意識がハッキリしている時に、しかも、呼吸が出来ない程の金縛りにあったのは初めてだったという。
突然Sが苦しみ出したので、住職達は大急ぎでお祓いを始めたらしい。
しかし目の前が真っ暗になり、数人のバタバタという足音、お経や金属音を暫く聞いて、プツリと意識を失ったらしい。

次に目を覚ますと、寺の客間の布団の上で、住職と両親が側にいた。
住職が話してくれた。
特に強い怨念を残した霊で、憑き方が普通ではなかった。
内側から侵食しており、Sはもう少し遅ければ本当に危なかったとのコト。
住職は「中々出て行かないので、こんなモノを使いました」と、木彫の仏さまを見せてきた。
身代わりの効果があるらしく、簡素な作りの人形だったが、Sにはとても神々しく見えたという。


517 :本当にあった怖い名無し:2006/10/11(水) 23:49:50 ID:yCprYea9O
3、あの女はどうなったか。その2
Sが声を失ったのにも、意味があるらしかった。
声には力があるらしく、霊が媒体を支配する際にその力を奪う、と言うのは良くあるコトらしい。
言霊(コトダマ)と霊は密接に関係しているそうだ。

お祓いが済んでもまだ声を出せない様子のSを見て、両親は心配したが、
住職曰く、「もう大丈夫。栄養をとって数日落ち着けば声も出るでしょう」とのコト。
実際一週間程で徐々に声は回復し、以前通りの生活を過ごせるようになったという。
その後しばらくして、Sは派遣業者に勤め、無事に今まで過ごしてきたとのコト。


518 :本当にあった怖い名無し:2006/10/11(水) 23:53:51 ID:yCprYea9O
以上>>154から長々と書いてきましたが、コレが自分の体験霊体験の全てです。
Sはお祓いの後、あの女はおろか一度も霊を見ることがなく、「霊感を無くしてしまった」と語っていました。
身代わりの仏さまに、そういう力ごと封印されたのでしょうか?
とにかく、本当に危ない心霊スポットには、遊び半分じゃなくても近づくもんじゃないってコトですね。
我々に、そういう異界のモノをどうにかできる力なんてありゃしないんだ、と思い知らされましたよ。
長々と失礼しましたー。



関連項目[編集 | ソースを編集]



外部リンク[編集 | ソースを編集]

引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?145

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